怪奇話の多い神社3(霊道)

神社の参道は、馬場道と呼ばれている。神馬が通る道のことらしい。

この参道を、馬が通っているのを見た事は終ぞない。

神主を馬に乗せるような祭りなどこの神社にはないからだ。

ただ…馬以外のものが通っていることを耳で聞いたことがある。

夜が更けると、この道は人通りが途絶えてしまう。

まぁ、それはずっと昔の話ではあるが… 。

真夜中に、この道で足音が聞こえると、明くる日には必ずお弔いがある。

男の人が亡くなるときは下駄の音、そして偶さかタバコの匂いなど。

女の人が亡くなる時は草履の音、この道沿いに家ではそれらを聞くのである。

「あー、明日はお通夜があるなぁ」

「草履の音やからあそこのおばあちゃんと違うか?」

「もう危ないみたいらしいから…」

神社から延びる馬場道の東西まっすぐな直線部分が、霊道になっているらしい。

それも今は昔の話である。今ではこの道もかなり人通りが多くなっている。

そのような音など誰も気がつかないであろう。

それでちょっと気になったから、地図で調べた。

神社からまっすぐに伸びている馬場道に定規を当ててみると、その延長線上にあるのが村の墓地である。

偶然なのか、そのように設定されているのかはわからない。