塔を掛ける

大乗仏教では、塔を建立するという事は大変な功徳になるといわれています。

私の知っているあるお寺では、多宝塔に始まり、三重の塔も、今のご住職さんが一代で建立されています。

先日、久々にこのお寺へお参りすると、また新しい普請が始まっていました。

このお寺は、元々庫裏と朽ちかけた本堂があるだけの寂れた山寺でした。

今のご住職さんになってから、山門の建立に始まり、大師堂・多宝塔の建立、本堂・鐘撞堂の改築、会館や宿泊施設など、小さい頃お参りした時の様子から見て、全く別世界のような趣きです。

新しい普請は、薬師寺の三重の塔のように、各層に裳階を付けた三重の塔らしいです。

完成すると、一つの寺院に三つ塔があるお寺になります。

これはご住職さんの努力と数々のご縁によって初めて出来た事だと思います。

塔を建立することを塔を掛けるとか、掛塔すると言います。

禅の世界で掛塔といえば、修行僧として入門された人を大悟徹底するために教え導く事、いや、入門させる事を言うらしいです。修行されて悟りを開くとまではいかなくても加行を成就されれば仏様という事になります。仏様になれば、凡骨が仏舎利になると考えれば、そのお舎利を納める器が塔と言う事になります。

建築物である塔を建立することと、生きた人を仏の道に入門させる事と、今の時代ではどちらが大切か?

少し思うところはありますが、それは口にしない事にします。

今の私には、どちらも出来ませんから……。

このご住職さんの跡継ぎの若住職さんはご養子さんで、ご住職さんとは血縁ではありません。

ただ若住職さんには御子息が二人おられて、どちらもご僧侶を目指しておられます。

ご住職 さん、もう二つ塔がお寺に出来ますよ!